右翼(保守)論壇の劣化~第二次安倍政権7年8カ月と信奉し続けた国士様論客たち(前編)~

 右翼(保守)論壇の劣化の劣化を語るという観点では見過ごせないものになっていてずっと書きたかったテーマです。

 

 2012年12月、3年3カ月続いた民主党政権衆議院議員選挙で大敗し、自民党が政権に返り咲き、2007年に任期途中の1年で総理大臣を辞任した安倍晋三氏が2度目の総理大臣就任となり、第二次安倍政権が発足しました。

 第二次安倍政権成立以前の行われた、2012年の自民党総裁選では安倍晋三氏と石破茂氏が対立することになり、安倍晋三氏は尖閣諸島の公務員常駐の検討、竹島の日政府主催の記念式典を行う発言をして、それを受けた国士様的な右翼論客である渡部昇一氏、すぎやまこういち氏等の28人で、安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会が発足し、安倍晋三事務所に赴き出馬要請する等、ネット右翼国士様連中からは待望論が高くなりました。選挙の結果では議員票では石破氏には負けたものの決戦投票では、安倍晋三氏が勝利し総裁の座を得ました。

 しかし2012年の総選挙で自民党が政権奪還しいざ総理大臣になると竹島の日の政府主催の記念式典の見送り、尖閣諸島の公務員常駐の話は立ち消えになる等、日本固有の領土で係争地となってる島への姿勢で雲行きが怪しくなりました。同時期に米国大統領の座についていたバラク・オバマ氏のyes we can レベルで「日本を取り戻す」と言ってるのが今思えば白々しく感じます。前任の野田佳彦氏が総理大臣だった時代には、当時の石原慎太郎都知事による尖閣諸島買取に対抗してなので国士様の評判もよくはなかったが、国有化の行動はしました。ネット右翼国士様が政治思想的に一番近い反共タカ派として支持してきた安倍晋三氏、中川昭一氏等が所属している(していた)自民党清和政策研究会の内閣が言説だけでやらず、嫌っていた民主党政権である野田内閣の方が毅然としていたというのは皮肉ですね。それだけではなく国士様右翼が期待した8月15日の敗戦の日靖国神社参拝ですが、2013年でしかも12月に参拝したきりです。靖国神社参拝といえば国士様右翼が先の戦争を「大東亜戦争」と呼んで、スローガンと東条英機の証言を利用して「アジア解放と自存自衛の戦争」とする歴史観となっており、併設されてる遊就館には真珠湾攻撃での戦果としており、大日本帝国が起こした東アジア、東南アジアへの占領政策においても負の施策という見地が抜けており、日本軍がやったことを過剰美化しているといわれています。

 アメリ国務省ではそんな政治思想が反映されてる靖国神社安倍氏が参拝したのを受けて、失望したという発言をしました。それを受けて当時の首相補佐官である衛藤晟一氏が「失望したのは我々だ」と発言していました。しかし当時の菅義偉官房長官によってそんな見解とってないという趣旨の発言をして撤回しました。安倍首相の支持者の国士様右翼の歴史認識大東亜戦争時のアメリカはコミンテルンが動かされていたという田母神俊雄氏の論文を信奉したうえで、開戦当時のアメリカと現在のアメリカとは違う論で戦争時のことは水に流してくれた論による国粋主義の皮をかぶった無思慮対米追従主義を標榜しています。しかし中国、韓国はいつまでも日本との戦争、植民地時代のことを批判しているのに対して、アメリカは水を流してくれたという論理、それこそ日本の国士様右翼の思想的浅薄さを感じてしまいます。日米関係は親子関係的なものが望ましいとかその論文もそうですよね。再軍備する日本というのを米国がどう思っているのかというのをわかっていません。いまだに米国では原爆投下を戦争終結早めるために必要だったという世論が60%を占めてる現状です。そういう国際秩序ですから政治家がネット右翼国士様と同様に歴史上の細かい出来事、「南京大虐殺はでっち上げ」「慰安婦の強制連行はなかった」と言い出すのは墓穴を掘ることになってしまいます。政治建前としての河野談話村山談話ですがそれすらわからない連中です。

 続いて国士様右翼が期待した河野談話村山談話の見直しですが、河野談話については「軍当局の要請で慰安所の設営し、管理、設置と慰安婦の移送についての軍の間接あるいは直接の関与」と「軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」というものですが、これに関しては国士様右翼に関しては、「慰安婦は軍から高い給料をもらっていたにすぎず謝罪する必要がない」とする言説がこだましており、撤回を求めてましたが、高給の代わりに年季奉公で借金が返し終わらないと廃業の自由がない等、今にしてみれば非人道的なので気を付けなければならないがそれをわからない人達です。それに加えて韓国でもベトナム戦争でライダイハンが生まれた等、みんなやってるんだからの相対化が行われています。しかし河野談話の見直しについては2014年6月の検証チームのによる結果が出る前に公に「慰安婦問題については筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々を思い非常に心が痛む、その思い、そうした日本政府の立場については変わるものではありません」と発表されました。河野談話について見直しとか言っておきながら大山鳴動して鼠一匹も出ずな感じですね。なお村山談話について「侵略、反省」の見直しも戦後70年談話も渡部昇一氏や櫻井よしこ氏が評価してましたが、これも「痛切な反省、心からのお詫びの気持ち」という文言も入り、見直すどころか継承すると公言し、河野、村山談話の見直しも夢と終わってしまいました。ただ「私たちの子や孫、その先の世代の子供たちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」という談話が盛り込まれたというのが、渡部昇一氏、櫻井よしこ氏等の国士様右翼文化人(笑)の評価するところなんでしょうけど。

 その年の年末には国士様右翼を追い詰めるかのように、従軍慰安婦への謝罪、賠償を盛り込んだ日韓合意についても、国士様右翼の間で評価が分かれこれでもう終わりだからという解釈する人もいれば、中西輝政氏みたいに失望したといい変節する国士様右翼も出ました。もっともこの後の文政権後に形骸化しますがまた別のお話になります。強い不満はありましたが、国士様右翼として言説を行う総理大臣ということで失望や不満はすぐに鎮静化されました。

 このように安倍晋三氏は右翼国士様の夢を叶てないくせに、それに寄生し歴史美化の主張をしている人々を批判したかったですが、ここまで書いてやる気がなくなったので次回に回りたいと思います。